『信濃町の民話』発刊に寄せて  信濃町長 大草忠和

信濃町では、埋蔵文化財の発掘が進められ、つぎつぎと新しい発見があり大きな話題をよんでいます。発掘された土器や石器を見るにつけ、古代の人々がどんな生活をしていたのかと想像をめぐらすことはとても楽しいことです。
 いっぽう、口から耳へと語り継がれてきた民話もまた、たいせつな文化財です。社会情勢が急速に変わりつつある今こそ、地域の民話を採取し整理することはとても意義深いことだと思います。
さいわいなことに、『かたかご童話会』のみなさんが、信濃町の民話を採取され、ときには学校や保育園などで語り聞かせをされているとお聞きし、うれしく思っていました。
おりしも、本年は町制施行四十周年にあたるので、『かたかご童話会』のみなさんのご努力を信濃町の民話集として発刊しょうではないかという企画に発展したのです。
『かたかご童話会』のみなさんは古老を訪ねられ、また現地に足を運んで、たんねんに取材をされました。さらに、取材にもとづいて、小学生から大人まで親しみやすく読めるようにと文章にみがきをかけられました。つまり、ふるさとの自然・風土・人情への限りない愛の心から生み出された民話集といえましょう。
ここに収められた四十一話の中には、幼い日に耳にした話しもあれば、初めて触れる話やうるおぼえだった話もあります。いずれしても、先人の夢や祈り、あるいわ喜びや悲しみ、ときにはおおらかな笑い声さえ伝わってきます。
わたしたちは、このささやかともいえる『信濃町の民話』から二十一世紀をよりよく生きるエネルギーをくみとってまいりたいと願うものです。

平成八年九月一日

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