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おたねいけ
 てんぐいわのおふくより
 作/さし絵・大島 良朗

 むかしむかし、がくどうさまが、ひじり山にのぼったときのこと。
 どこからともなく白いきものをきた、ごんげんさまがあらわれて、「おまえは、ここでしゅぎょうをつづけろ。そうすれば、しみずがわきでるおまじないを、おしえよう。」というや、水たまをくださりきえてしまった。
 「こんなに、山も森もきれいな、おおおかの村に、田んぼができたら、村の人たちは、さぞよろこぶであろう。」
 がくどうさまは、こつこつとひとりで、川をこしらえはしめた。あんまりいっしょうけんめいほっているので、村のしょうも、そんならおらもといって、いっしょにほるようになった。なん年たったか、なにしろ、がくどうさまのはいているてつのはが、おとなの手のひらのだけぐれえに、へってしまったとき、四十八の川が、やっとできあかっか。
 がくどうさまは、さっそく、山のちいさないけに水たまをなげ、おまじないをとなえた。そうすると、いけの水が、どぶんどぶんとわきでて、川へながれだした。
 村のしょうは、うんとよろこんで、あれたところをたがやして、田んぼをつくった。
 がくどうさまは、このいけのちかくに、ごんげんさまをおまつりして、たびにでかけてしまったが、このいけは、いつまでもつきることなく、田んぼに水をわけてくれた。いつのまにか、「おたねいけ」って、よばれるようになったそうな。

長野県 長野地方事務所 長野広域行政組合刊 長野地域民話集昔々あるところより
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