関山国師の牛の玉

  京都におられた関山国師は、愛郷心からある年、念願かなって高梨城へ来られた。
 「私は以後、故郷の高梨城へは帰りません。けれども私の形見として、一番大切にしている物を置いていきます」と言われ、そこに出されたのは一つの玉であった。
 国師は牛を大変愛され、日常の寝起きも牛と共にされていた。また、佛の道を説きに行かれる時も、牛を連れてとぼとぼ出かけられることが多かった。
 ある夜のこと、牛が異様な声を出して啼くので起きて見ると、牛小屋の入口で直径一寸(三・〇三cm)ほどの火の玉がふわりふわりと飛んでいた。国師は、火の玉を取り押さえてやろうと、お経を唱え心を静め、ようやく手の中に握られた。
 国師は、この不思議な玉を尊いものとして、大切に蔵しておられたもので、形見の玉の由来を細かに話して置いていかれたという

  (ふるさとの伝説と昔話)

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中野市公民官報 文化なかのより