浜津ケ他の大蛇

 昔むかし、浜津ケ他に大蛇が住んでいた。
 ところが、その大蛇には、浜津ケ他は小さくて棲みにくかった。そこで大蛇は、大雨が降った夜に他を飛び出して、千曲川を渡ってどこかへ行ってしまった。
 それは、雨が幾日も降り続いた夜たった。突然起こったゴウゴウという音に村人たちは眠りをさまされ、不気味な一夜を明かした。朝になってみると、池から牧山を通って千曲川まで、畑や田んぼが幅三〇メートルにもわたって引き裂かれていた。 「夕べの音は、浜津ケ他の大蛇が暴れたんだ」「浜津ケ他の大蛇だ。これは大蛇が通った道だ」と、村人たちは言い合った。それからは、穏やかな池になった。
 浜津ケ他の近くにある「蛇越え」というところは、池にいた大蛇が千曲川に渡るときに通ったところだという。

  (ふるさとの伝説と昔話)

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中野市公民官報 文化なかのより