黒姫物語

 戦国時代、小館城主、高梨摂津守政盛に黒姫という可愛らしく、賢い娘がいた。
 ある日、政盛は家来を連れ東山で花見の宴を開いた。同席していた黒姫の姿を見た大沼他の主は、自分に貰い受けたいと、立派な侍に化け、政盛に懇願したが断られた。
 そこで侍は、思い切って自分の素性を打ち明けた。政盛は、大蛇に一人娘をやるわけにはいかないと、難題を持ちかけた。その難題に、大蛇は傷つき動けなくなった。政盛は死んだものと思い、約束を守らず城に戻った。
 死ななかった大蛇は怒って、一族の四十八他の主と共に池の水を一度に押し流した。箱山のお陰で城は流されずにすんだ。しかし黒姫は、大蛇の恨みを受けながら生きていけないと、信濃と越後の境にある池に身を投げて死んでしまった。その後、この山を黒姫山というようになった。
 中野祇園祭の日には、空が曇り雨が降るという。この時、黒姫が雲に乗って、小館城に里帰りするといわれている。

  (ふるさとの伝説と昔話)

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中野市公民官報 文化なかのより