田植え

 「オーイ、いいか」「ハーイッ、おねがい」と左端と右端の縄を動かす者が声を交わす。早く植え終えた者はちょっと腰を伸ばす。遅い者は大あわてで植える。
 左右にぬかる田圃をカニのように動きながら一株一株植えるのだ。雨が降ろうが風が吹こうが子どもも年寄りも家族総出で夜明けとともに行う。6月5日ぐらいから20日ぐらいまで、どの家でも10日〜2週間くらいこの仕事を続ける。
 「しつけ」ともいわれ、農作業の中で最も大事であり、最も重労働だった。一人前の腕のいい人で1日で5畝ぐらいが最高の出来高(現在の二条植田植機なら20分ぐらい。五条植なら数分)。田起こし一堆肥入れ一田こぎりーあぜ切り・肥料まきーあらくれー中しろ一上しろーあぜぬりーえぶり押し一田植という順に、米作りはまさに宇のとおり88回も人の手をかけて行ったのだ。

もくじへ 
拡大する
next